EXPE INTERVIEW LONG SET VOL.5

Question = K.Yamaguchi and Friends
Answer = Yoshitake EXPE
 
Q:なるほど、ありがとうございます。
ところで、様々な活動と並行し2006年にソロでTEERAをリリースしましたよね。
ソロでの作品はこのTEERAが初めてになるのですか?
 
A:そうですね、名義上ではTeeraがソロの初作ですね。
実のところnutron”spectra”を制作するきっかけが、当時ボアダムスのドラマーだったE-DA氏のソロアルバム「かくれんぼ」のレコーディング時に知り合った録音エンジニアの林さん(当時ボアダムス・竹村延和など)から、僕のソロアルバムを作らないか?と持ちかけていただきまして。
nutron”spectra”はドラマーの高橋くんの演奏を重要な要素として制作しましたが、もともとはソロプロジェクトだったんです。
なので自分にとっては作曲やアレンジ、プロデュースなど、初めて本格的にひとりでアルバム制作したのは”teera”ではなく”spectra”ですね。
 
 
Q:そうだったんですか。
nutronからソロ活動に移行したきっかけはあったのですか?
 
A:nutronはドラムとのデュオ形式でしたが、ドラマーの高橋くんがある一定のギャランティが入らないライブやツアーには同行しない方針だったんですね。それで仕方なくひとりで動くようになり必然的にソロ活動になったんです。
そうしているうちに千住宗臣くんなど新たに一緒に演りたいと言ってくれるドラマーが現れて活動を続けてましたが、その場合にはnutronと名乗ることは出来ないけど音楽性はあまり違わないということで、ちょっとした混乱もあったりしまして。この時期は名義の難しさを感じましたね。
 
 
Q:その流れでソロ名義のアルバムTeeraが生まれたということですね?
 
A:そうなんですが、Teeraは自分の作品という感じがしないんですよ。
 
 
Q:自分の作品ではないとはどういうことですか?
 
A:2004年末に名古屋でステージ転落の事故をして右手を骨折した時に制作したものなんですが、
沖縄の聖地で神の島として知られる久高島のイシキ浜で、波の音をフィールド録音をした際に不思議な体験がありまして。
後で録音した波の音を聞いてみると、その時の感覚がリアルに蘇ってきましてね。
それでその体験を音に変換してみようと思いついて、ギターを重ねてみると自動的にあれが出来たんです。
 
 
Q:右手を骨折しながらの制作ですか。不思議な体験とはどのようなことが起きたのですか?
 
A:神聖な時間と言われるイシキ浜の水平線から太陽が昇ってくるのを待ちながら、波の音を録音していました。
暗闇の水平線が次第に色が加わってきて、そのグラデーションの変化を見続けている最中に光に包まれるような感覚になって、そのまま浜に倒れてしまったんです。
言葉では言い表せれないですが、、祝福されているかのように安心で、とにかく気持ち良かった。
 
そのまま意識を失って寝てしまっていて、ハッと目が覚めて気がつくと、朝日は水平線よりもずいぶん上に昇っていて新しい1日が始まっていました。
単に寝てしまったかのようですが、夢ともまた違った不思議な体験でした。
 
後で録音した波の音を聞いてみると、完璧にその時の体験を思い出したので、即興でギターで音に変換してオーバーダビングしてみたんですね。
出来上がったものをプライベートでCDにして人に渡したりしているうちに、東京のレーベルの人が気に入ってリリースしてくれたんです。
 
 
Q:波の音以外のギターの音はギターっぽくないというか、シンセサイザーみたいですよね。音像の拡がり方もすごいです。
 
A:ギターを演奏しようという意識がなくて、とにかく自分の体験で得た感覚を音にしたくて、ああなってしまったんですよ。
具体的にはギターの演奏をフットペダルでアタック音を消しながらピッチシフトで音程をあげてディレイのエコーをかけたものなんですが、それをオーケストラと言えるくらいに十数トラックも重ねていて、それはあっという間に自動的に出来たんですが、
結果、同じ付近の周波数の音がたくさん存在することになりますので、かなり入念なミックス作業が必要でね。団子状にならないように、気持ち良く拡がらせるように2トラックのステレオに変換するのは非常に難しかったですね。
 
 
Q:ミックスは一人でされたんですか?
 
A:録音は沖縄でひとりでしましたが、大阪に戻ってからエンジニアの林皇司さんと二人でスタジオで手動でミックス作業をしました。
あの拡がり方、音像のまとめ方は林さんのお陰です。
林さんもトラック数に驚いていましたが、聴こえないようなサブリミナルな感じの音もいっぱい入っているんですよ。
 
Teeraは1曲が長いので、ミックス作業中に最後まで聴き通すことがとても難しく、二人とも途中で音に気持ちよくなって寝てしまって、最初から何度もやり直しになって。気がついたら夜になって翌日に回したり、音にハマりすぎてフェーダーを動かすことを忘れてしまったりして、数日かかってようやく完成しましたが、ミックスは本当に大変でした。(笑)
 
 
Q:面白いエピソードですね。
不思議な神秘体験をレコード化したとのことですが、実際に気持ちの良い音がリスナーに効くことは実証済みなのですね。
 

つづく

 
次回の記事は2018/10/05(FRI)に更新です!
 

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